川上未映子さんの小説『黄色い家』をふと気になって読んでみました。
川上未映子さんの本は初めて読みましたが、内容が引き込まれるような展開で一気に駆け抜けるようにして読み終えた印象です。
以下、本の紹介文です。
2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。
冒頭から引き込まれる展開です。
主な登場人物は、主人公の花を中心に、黄美子さん、蘭、桃子…です。
黄美子さんのニュースをたまたま見つけることで、そこから20年前の記憶が一気に引き出されます。当時、一緒に活動・住んでいた蘭へ電話をかけ、会うことに。
その後は、20年以上前の話から始まります。
物語は1990年代後半。私も当時中学生ぐらいだったので、話の内容にリンクするところがあって共感が持てました。(X JAPANとか)
主人公の花は家庭環境から苦しい生活を強いられますが、そこからの彼女の熱意・頑張りは応援したくなる部分も多々あります。
ただし、生きていくためにカード犯罪の出し子に手を染めるようになり、徐々に生活も含めて追い詰められていきます。
特徴的な人物は、小説の冒頭でもニュースとして登場する「黄美子さん」。
花との出会いから描かれますが、最初とは異なり、徐々に黄美子さんの印象は変わってきます。「そういうことだったんだ」という合点がいくように。
このあたりは本書をお読みいただければと思います。
次が知りたくなるサスペンスのような小説でした。しかも、そこにある”リアル”を見せられたような気がします。