「ストーリーテリング」という手法を、コピーライティングを学んでいる方であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
文字どおり「物語(story)」を「語る(telling)」という意味で、ストーリテリングを用いることで、コピーライティングスキルの幅がグッと広がります。
今回は、その効果を事例とともにご紹介します。
ストーリーテリングの定義
ストーリーテリングは、ただ物語を語ればいいというわけではありません。
ストーリーテリングとは「あなたが”伝えたい想い”を自らの体験談やエピソードを用いて言葉化することによって、聞き手の心に強く印象づける」手法のことです。
ブログやメルマガを書いている人などは、ストーリーテリングを意識しなくとも自然とあなた自身の経験を書いているかもしれません。
「人は感情で物を買い、理屈で正当化する」という言葉もあるように、感情の部分を伝えるということはコピーライティングにおいて重要なポイントです。
そこで、読み手を引き込み反応させる力のあるストーリーテリングは有効な手法となるのです。
ストーリーテリングを使うメリット
ストーリー調にすることで、
- 想像してもらいやすい
- 印象に残りやすい
- 具体的なので信ぴょう性が高くなる
などのメリットを読み手に与えることができます。人は、その話が具体的であればあるほど、イメージもしやすく、信用へとつながります。
また、印象深い話は人から人へ伝わりやすいという特性ももっているため、広がりやすいところもストーリーテリングを使うメリットといえます。
弊社で制作した「とまと牧場」様のサイト事例
ここで以前、弊社で作成した「とまと牧場」様のホームページをご紹介します。
こちらは、ミニトマトの通信販売をしているサイトです。
ミニトマトは通信販売ではたくさんライバルが存在しています。単純に価格などで比較されると楽天などで購入される可能性が高くなります。そこで「なぜここで(このサイトで)買うべきなのか」ということについて3つの視点からアピールしています。
1.信念を表現する
”ミニトマトへの想い”を子育てに置き換えて表現しています。「ミニトマトをつくるときは赤ちゃんを育てるのと同じように接する」。これだけでも十分イメージすることができますが、さらに苦労したことや試行錯誤してわかったことを語ることで、信頼性を高めることができます。
2.この世にたったひとつのストーリーを紹介する
次に「どこにでもあるような商品ではない」という証拠として、開発までのストーリーを載せました。「じつは私は農家の生まれではありません」という意外性で読み手を惹きつけ、その後どのようにして甘くておいしいミニトマトに出会ったのか、生産者自身の人生をエピソードにしています。
3.都合のいいことだけを言わない
人はいいことばかりを並べられると「本当かな?」と疑いたくなります。もちろん、素材として何もなければ無理に書く必要はありませんが、マイナスと受け取られそうな面があればきちんと伝えるべきです。ここでは「無農薬ではない」ということを最初に伝えてから、子どもの予防接種にたとえ、その必要性について生産者自身の考えを載せています。
特にネット通販サイトなどでは、商品がいかにすばらしいか、他とは何が違うか、ということ以外にも、その商品の価値を裏付ける運営者側の想いを表現することがよいクロージングへつながります。
ストーリーテリングでやってはいけないこと
ストーリーテリングは「自らの体験談やエピソードを物語として」語ることであって、あきらかにウソであることだったり、誇張しての表現はいけません。
テレビ番組でよくありますが、あまりにも誇張した内容になっていると、直感的にも気づきます。事実かどうかは、前後の文脈や伝え方で感覚で意外とわかるものです。
あまりにドラマチックな展開は、疑念を生みますし、読み手の価値観とかけ離れていると共感しにくくなります。
そのため「読み手がイメージしやすく、共感しやすい内容」にすることがポイントです。
また、私の場合は、ストーリーテリングはひとつのコンテンツのなかの一部として活用してます。コンテンツ全体をストーリーにするのは、たんなる読み物として終わってしまう可能性があるからです。