こんにちは、ワードメーカーの狩生です。
今日は「その言葉、戦略に沿ってる?」というテーマで、とあるシステム開発会社のキャッチコピーを例に挙げながら話をしていきたいと思います。
まず、大原則として、文章を書くときは、戦略から考えていかなければなりません。
戦略→文章(戦術)
…という順に考えて作ることが大切で、絶対に文章から考えてはいけません。
文章から考えて後で戦略を考えると、あまり望ましくない流れになってしまいます。
たとえば、「こういう言葉がいいですよ」といった文章術を教えてくれる本などがありますが、そういった一般化されたノウハウをそのまま使うのは危険です。その言葉があなたの戦略に合っているか?というのを、まず第一に考えていただきたいなと思います。
戦略に沿っていない場合は、たとえそのノウハウ本でいいとされた言葉であっても使わない方が良い可能性もあります。
この内容は、動画でも解説しています。
戦略とコピーライティングの関係とは?
戦略とコピーライティングの関係性をもう少し詳しく解説していきましょう。
戦略と戦術という言葉にしてしまうと、語感が似ているせいか2つを混同してしまう方が多いようです。
でも、戦略と戦術はまるっきり違うものです。戦略は頭の中で行うもの。
そして、戦術はコピーライティングといった文章としてアウトプットされる具体的なカタチです。
この2つの関係性を表す上で、とても分かりやすい区別の仕方が、目に見えるもの/目に見えないものです。
目に見えないもの
まず、目に見えないものが、「戦略」です。戦略とはあなたの頭の中で考える作業になります。
ランチェスター経営で言うと、
- 商品
- 地域
- 業界客層
というのが三大戦略となります。まずは頭の中で目に見えないものである「戦略」を考えてから、目に見えるカタチつまり「文章」にしていきます。
目に見えるもの
次に、目に見えるものが「戦術」になります。文章を書く、といった手を動かす作業のことを言います。
戦略と戦術がごっちゃになっていないか。
戦略を考えずにカタチから入ってしまっていないかということを確認するためには、まずは今のコピー(文章)は自社の戦略(ポジション)に合っているのか?というのを検証してみることをお勧めします。
では、実際に自分では良いと思っていたキャッチコピーが、実は会社の戦略に合っていなかった…という実際に起きた事例をご紹介したいと思います。
具体例―システム開発会社様の事例
以前私が行ったセミナーの参加者の方の事例なのですが、そのシステム開発会社さんは当時のチラシやホームページにこんな文章を載せていました。
「ご希望のシステムを開発します」
「高い技術力で○○のシステムを開発致します」
その他にも「実績」とか、「柔軟性」といった言葉をキャッチコピーとして使用されていました。
これらの言葉は一般的によく使われている言葉なので、ありがちな言葉を使ったために同質化してしまって、かえって他社との違いが分からなくなるという問題が生じていました。
業界や地域によって頻出ワードは異なりますので一概には言えませんが、会社のウリが見えなくなってしまうため同質化は避けなければなりません。
「ご希望のシステムを開発します」というのがもし戦略に合った言葉なら良いのですが、もしそうでないのなら変えていく必要があります。この方の場合は違っていました。
この会社の本来の戦略とは?
詳しく会社についてお聞きしたところ、この会社の強みはご希望のシステムを(そのまま)開発する―というのはまったく異なっていました。
この会社は、まずクライアントに詳しくヒアリングをして、細かなご要望をお聞きした上で、ご要望のままを提案するのではないそうです。これでは、先ほどのコピーと戦略が合っていませんよね。
この会社には、クライアント様のご要望が実現するような形で、でも別の角度からのオリジナルの提案ができる、という強みがあったのです。
ヒアリングをした上で「それならこういう作り方の方が便利ですよ」とか「こっちの方が保守も安くなりますよ」といったお客さまにもっとメリットのある提案をすることができる。これは、お客さまにとってもとても嬉しいことですよね。
このせっかくの会社の強みが、まったく文章に反映されていなかったのです。もったいないですよね。
キャッチコピーに戦略が反映されていなかったために、よくあるシステム開発会社の一つとして同質化され、目立たなくっていました。
しかも、お客さまからは「違った角度からのより良い提案が受けられる」という最大のメリットが見えません。
これでは、残念ながらどんなに優れた会社でも、選んでいただくことはできません。
あなたの場合はどうでしょうか?
最後にアクションプランです。
あなたの会社・商品・サービスのホームページやチラシの文章は、戦略に合っていますか?
戦略、ポジション、強みがきちんと表現されていないと意味のないものになってしまいます。
情報収集のために他の会社のホームページやチラシなどをご覧になることがあると思います。
でも、競合を意識するあまり、参考にし過ぎてしまっていないかということにも注意をしてください。
もちろん、ライバル情報を集めることは必要ですが、影響されてしまった結果、真似になっていないか?ということです。
真似をするという意識がなくても、業界にどっぷり浸かっているといつの間にか似たような表現になっている。結果的に真似になってしまうことがあります。
似た表現は同質化に繋がります。ライバルと同質化してしまうと、自社が1位でないかぎり選ばれにくくなってしまいます。
ぜひこれを機に、確認をしてみてください。