こんにちは、コピーライティング専門会社・ワードメーカー株式会社の狩生です。
あなたは、新規事業を始めるにあたり「ペルソナ」を設定しますか?
ペルソナとは、事業の典型的な顧客像を具体的に描いたものです。「サービスを届けたいのは、こういう人です」と、チーム内で共通のイメージを持つために作られます。
多くのマーケティングの現場で使われている手法ですが、実は私は、このペルソナ設定をあまり使いません。なぜなら、ペルソナ設定には大きな落とし穴があるからです。
しかし、ペルソナを作る過程、つまり「顧客はどんな人か?」を明確にしていくプロセスは、事業の成功に欠かせない非常に重要なものです。
この記事では、ペルソナ設定がなぜ失敗しやすいのか、そして、その問題を解決するためにAIをどう活用できるのかを解説します。
なぜペルソナ設定は重要と言われるのか?
ペルソナとは?その目的を再確認
まず、ペルソナの基本的な役割から確認しましょう。
ペルソナとは、年齢、性別、職業、年収、家族構成、趣味、価値観といった具体的な情報を盛り込んで作り上げる、架空の顧客像です。
ペルソナを設定する主な目的は、以下の通りです。
- 関係者間の認識を統一する: 「20代女性」という曖昧なターゲットではなく、「〇〇という価値観を持つ28歳の女性」と具体化することで、チーム全員が同じ顧客をイメージしながら施策を考えられるようになります。
- 意思決定の軸を作る: Webサイトのデザイン、広告のメッセージ、商品の機能など、あらゆる意思決定の場面で「このデザインは、ペルソナの〇〇さんに響くだろうか?」という基準で判断できます。
- 顧客への共感を深める: 顧客をより深く理解し、本当に求めているものは何かを考える手助けになります。
このように、うまく機能すれば、ペルソナは事業を推進する強力なツールになります。
なぜ私はペルソナ設定をあまり使わないのか
では、なぜ私はペルソナ設定を積極的に使わないのでしょうか。 それは、多くのペルソナが「作り手の願望」や「思い込み」の産物になってしまいがちだからです。
その結果、いつの間にか「こんな人、本当にいるのだろうか?」という、現実離れした理想の顧客像が出来上がってしまいます。
現実の顧客はもっと多様で、矛盾した行動をとることも少なくありません。作り上げたペルソナという型に固執しすぎると、かえって顧客の実態を見誤る危険性があるのです。
ペルソナ設定が失敗する、よくある落とし穴
ペルソナ設定がうまくいかない原因は、主に「作り方」と「使い方」にあります。
罠1:「こんな人、本当にいる?」理想だけの顧客像
ペルソナ設定で最も陥りやすい失敗が、客観的なデータや事実に基づかず、担当者の推測や願望だけで人物像を作り上げてしまうことです。
「きっと、うちの顧客はこんな人のはずだ」「こういう人に使ってもらいたい」
こうした思いが先行すると、市場にはほとんど存在しない、都合のいいだけのペルソナが完成します。そのペルソナを基準に商品開発やプロモーションを行っても、当然ながら誰にも響きません。
罠2:一度作ったら終わりの「形骸化」
もう一つの罠は、一度ペルソナを作ったことに満足してしまい、その後見直されることがないケースです。
市場のトレンドや顧客の価値観は、常に変化しています。数年前に設定したペルソナが、今も同じように有効であるとは限りません。
立派なペルソナ資料が作られても、それが更新されずに放置され、実際の業務では誰も参考にしていない状態では、存在しないのと同じです。
重要なのは「完成形」ではなく「顧客を深掘りするプロセス」
私がペルソナ設定そのものよりも重要だと考えているのは、顧客を深く、多角的に理解しようとする「プロセス」です。
- 私たちの顧客は、普段どんな生活を送っているのだろうか?
- 何に喜び、何に悩んでいるのだろうか?
- なぜ、他のサービスではなく私たちのサービスを選ぶのだろうか?
こうした問いを立て、データを集め、議論を重ねる過程そのものに、顧客理解を深める価値があります。ペルソナは、その思考のプロセスを助けるための一つのツールに過ぎません。
AIの力で「客観性」と「深掘り」を加速する
では、どうすれば「理想だけの顧客像」という罠を避け、客観的に顧客を深掘りできるのでしょうか? そこで役立つのが、AIの力です。
なぜAIが顧客理解に有効なのか?
AI、特に生成AIは、私たちの「思い込み」や「偏り」を取り除く手助けをしてくれます。
- 客観的な視点の提供: AIは、私たちが持つ先入観にとらわれず、入力された情報に基づいて多角的な視点や質問を投げかけてくれます。
- 思考の壁打ち相手: 「こういう顧客はどうだろう?」というアイデアに対し、AIが壁打ち相手となり、その人物像の解像度を高める手伝いをしてくれます。
- 深掘りのきっかけ作り: 自分たちだけでは思いつかなかったような、顧客のインサイトに繋がる質問を生成してくれます。
顧客理解を深める「ペルソナ深堀りAIチャット」
このAIの力を使い、客観的かつ効率的に顧客理解のプロセスを進めるために、「ペルソナ深堀りAIチャット」というツール(GPTs)を作成しました。
このチャットツールに、あなたが考えている顧客の簡単な特徴を入力すると、AIが専門のマーケターのように、その人物像を深掘りするための質問を次々と投げかけます。
これにより、「こんな人、本当にいる?」という罠を避け、より現実的で解像度の高い顧客像を描く手助けとなります。
もしあなたが顧客理解のプロセスで悩んでいるなら、ぜひ一度試してみてください。
▼ペルソナ深堀りAIチャットはこちら
まとめ
今回は、新規事業におけるペルソナ設定の課題と、AIを活用した新しい顧客理解の方法について解説しました。
- ペルソナ設定は、チームの認識を合わせるために有効な手段
- しかし、「理想だけの顧客像」や「形骸化」といった罠に陥りやすい
- 重要なのはペルソナという完成形ではなく、顧客を深く知ろうとする「プロセス」
- AIを活用することで、そのプロセスに「客観性」と「深み」をもたらすことができる
ツールは、使い方次第で良くも悪くもなります。ペルソナやAIを賢く活用し、あなたの事業にとって本当に価値のある「顧客理解」を進めていきましょう。